​化学(chemistry)

 我々櫻井研究室では有機合成や高分子合成によってナノメディシンをデザインしています。具体的には水中や有機溶媒中で自己集合するミセルの分子設計、制御重合法を用いた次世代のナノ粒子の設計、核酸や多糖を用いた複合体の設計などを行っています。

​プラトニックミセル

 我々の研究グループは、カリクサレン系の両親媒性化合物が水の中で球状ミセルを形成することを見出し、構造精密解析を行った結果、そのミセルの会合数が6であり、かつそれ以外の会合数は存在しないこと(単分散性)を見出しました。このような会合数にまったく分布のないミセルは、従来のミセルの概念では説明できません。さらに他の類似化合物や天然系の脂質に関しても同様の単分散性が確認され、会合数が30以下の場合には、その会合数が、2、4、6、8、12、20から選ばれる数字のどれかになることを発見しました。本研究グループが見つけた会合数のほとんどは、プラトンの正多面体(4面体、6面体、8面体、12面体、20面体)の面の数と一致します。このことから、この不思議なミセルを「プラトニックミセル」と名付けました。

 

 以上のことから、セッケン分子や脂質などの両親媒性化合物が水中で球状ミセルを形成し、その会合数が30以下になると、今までの研究者が気づかなかっただけで、すべての化合物で、2、4、6、8、12、20から選ばれる数字のどれかから選ばれる会合数を取っていると考えるに至りました。すなわち、プラトニック性:「不連続な会合数」&「プラトンの正多面体の面数と一致」は、ミセル一般に適用できる一般法則であり、球状ミセルが発見されて104年間、誰も気が付かなかった事実であります。

参考:ミセルの会合数の不連続性を発見 – 高校化学の教科書の記載が変わるかも?(Link)

SPG/核酸複合体

 グルコースがβ-1,3型の結合で連なった多糖であるβ-1,3グルカン(SPG)が水中では3重らせん構造を形成しているが、DMSO等の極性有機溶媒やアルカリ条件下では螺旋がほどけランダムコイル状の単一鎖になります。この状態から水に戻すと疎水性相互作用と水素結合を介して三重らせんが再形成します。この過程に核酸を混ぜると核酸一本とSPG二本で三重螺旋構造をとるということを櫻井は発見した。このSPG/核酸複合体はグルカンのdectin-1認識により選択的な薬物送達が可能になる。それを利用し、我々は抗原提示細胞などを標的とした薬物送達の研究を行っている。

プラトニックミセル.jpg
SPG.jpg